教育制度
日本では、小学校で6年間、中学校で3年間を過ごし、義務教育を終えます。そして、高校へ3年間、大学は4年、短大は2年、と決まっています。ところが、アメリカでは日本のように6・3・3制だけでなく、5・3・4制、6・6制などまちまち。名前も中学校をMiddle School, Junior High School と呼んだり、高校を High School や Secondary School と呼んだり、地区によってさまざま。日本とは、違っている部分が多くて驚くことも多いです。
州や町によって、違う部分も多いのですが、私(しんまいまむ)が住んでいるマサチューセッツ州を例にアメリカの教育システムを研究してみます。
アメリカの中学校、高校に興味のある方は アメリカの教育 − 現場から をお読みください。ここでは中学、高校に通わせた経験のあるノーラ・コーリが現場からレポートしています。
学校の種類
Public, Private, Charterと大きく分けて3種類があります。Public(公立校)
日本の文部省にあたる教育庁が教育全般を担当。全国的な統制は行わず、権限は各州、各学校区に一任されている。授業のカリキュラム、教科書、休日なども独自に決定している。Private(私立校)
教会系(Parochial School)、進学指導校(Preparatory School)、寄宿学校(Boarding School)などがある。教会系の学校は一般的に組織支援も豊かで教育条件もよく授業料が安い。それ以外の私立校は、授業料が高い。有名私立の授業料はかなりの高額になっている。私立の場合は、学校独自の教育理念は方針のもとに授業が行われ、クラスの人数が少なく、厳しい規制の中、行き届いた指導をされるところが多い。Charter(許可校)
日本にはないので、ちょっとわかりにくいシステム。学力の低下や、人種や所得階層の住み分けによる教育条件の地域間(学区)間格差の問題を受け、従来の公立学校では改善できないさまざまな問題に取り組むため、親、教員、地域団体などが、州の学区の許可(チャーター)を受けて設ける初等、中等学校等であり、運営には公費が使われています。州や学区の法令・規則の適用が免除され,一般の公立学校とは異なる方針・方法による教育の提供も可能。ただし、教育的成果をチャーター交付者により定期的に評価され、一定の成果を挙げなければチャーターを取り消される場合もあります。アメリカでは教育に関する権限は州にあり、チャーター・スクールに関する制度は州によって異なります。このため、チャーター・スクールの設置許可の主体や設置許可数の制限の有無、教員免許を持たない教員の任用の可否などは、州によってさまざまです。クリントン前大統領、ブッシュ大統領も、チャータースクールを支持しています。独自の理念・方針に基づく教育の実現をし、きめ細かな指導をしているという長所もありますが、教育の低下、一般の公立校との摩擦、人種分離などへの懸念もあげられています。
学校の区切り方
5・3・4制・・・エレメンタリー5年、ミドル3年、ハイ4年 6・3・3制・・・エレメンタリー6年、ジュニアハイ3年、ハイ3年 6・2・4制・・・エレメンタリー6年、ジュニアハイ2年、ハイ4年 6・6制・・・エレメンタリー6年、セカンダリー6年8・4制・・・エレメンタリー8年、ハイ4年
義務教育
各州によって異なるが、5,6歳(Kindergarten)から,18歳までの12年間を無償教育期間としているところが多い。
入学の年
新学期は9月からいっせいに始まりますが、入学の年齢を決めるのは、12月3日が、区切りになっている以外にも1月1日が境になっている学校もけっこうあります。(日本では4月2日が区切り)。
ただし、子供の成長や親の希望によって、学年を繰り下げることが可能。
想像しているよりも、繰り下げて入学する子供は多い。同じ学年に2歳ほど違う子供達がいることになるので、身長差もかなり出てくる。
編入する場合は、4月1日から12月2日生まれの子供は、1学年上の学年にあたる。12月3日から3月31日生まれの子供は日本と同じ学年になる。
キンダーガーテン入学に必要な予防接種
5DTaP or DTP 三種混合(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)を5回
4Polio ※ポリオを4回
3HepatitisB B型肝炎を3回
2MMR はしか、おたふくかぜ、風疹の三種混合を2回
編入の手続きに必要な書類例
・出生証明書(パスポートなど)
・予防接種証明書(日本から持ってきた英文のものを直接、または、主治医に作成してもらう)
・前の学校の在学および成績証明書
・居住地を証明するもの(アメリカの免許があればいいが、ない場合は電話、ガス代などの請求書などでもOK)
送り迎え
公立学校の場合はスクールバスがたいていあります。有料、無料、学校によってさまざま。
私立学校は親が送り迎えをするのが一般的です。IDの提示を求めらる場合もあります。
スクールバス
黄色いバス。キンダーガーテンや低学年は家の前まで来てくれることが多い。キンダーガーテンの場合は親が迎えに出ていないと、そのまま学校まで子供を連れて帰り、学校から親に連絡をとる。
スクールバスが「STOP」サインを出している場合は、両側からくる車は停止しなければならないので、子供の迎えはバスが反対車線に止まったとしても親は家の前で子供が道路を渡るのを待っている。
学校を休む場合は、別にスクールバスに連絡をすることは必要ありません。バスに乗り遅れた場合は、親が車で学校に送りに行きます。この場合、 Parent's drop off といいます。
ELL(English Language Learner)
英語を第二母国語とする生徒のためのプログラム。まだESL(English as a Second Language) という名称を使っているところがあるが、じょじょにELLという呼び名に変わってきている。それは必ずしも第二言語として英語を学んでいる生徒ばかりでないという発想からこの新しいことばが生まれた。
ESLのバイリンガル教師やアシスタントが付き添い、生徒をヘルプする。レベルが上がるにつれて、付き添いの時間が減らされ、通常のクラスへの参加までのステップにする。通常のクラスに移ったあとも、試験の時などはアシスタントが手を貸してくれるところもある。日本人が多い地区では日本語のわかるアシスタントが多い。小さな町には、子供のためのESLがない場合もある。
キンダーガーテン
小学校に付属している幼稚園。アメリカではここからが義務教育。「幼稚園」と訳されているが、日本の幼稚園とは少し異なる。小学校に入る1年前に、学校に慣れるための予備校といった感じ。時間は、午前、午後に分かれて半日ずつというところや、終日のプログラムというところもある。お絵かき、工作、音楽、体操の授業をはじめ、アルファベット、ナンバーはもちろん、rhyme(韻を踏んだ言葉)の練習をしたり、アカデミックなこともやる。生徒たちの前で自分の意見をいう”Show and Tell”もこの頃からはじめる。
プリスクール
義務教育の学校に通う前の子供が行く施設。キンダ−ガーテンにあがる1年前の子供はプレキンダーガーテンと呼ばれ週3回、それよりも小さい子供はナーサリーと呼ばれ週2回というところが多い。1日の時間は2時間から3時間ほど。お絵かきやお遊戯などが中心。
デイケア
日本の託児所にあたる。午前7時から午後5時までが一般的。両親が仕事を持っている場合に利用する。
ランチ
カフェテリアという食堂でとる。カフェテリアではホットドック、ピザ、マカロニチーズなどが1ドル以下で食べられる。ランチを自分で持っていく子もいる。中身はピーナッツバター&ジャムとりんごなど簡単なものが多い。
スナックタイム
10時、3時に食べる。フルーツやクッキー、プレッツェルなど。小袋につめられたポテトチップスなどのスナックはスーパーで売っている。飲み物は150cc くらいにパックされたものを持っていくか、牛乳やココア(Chocolate milk) を学校で買うこともできる。
学校選びの目安
・生徒ひとりあたりに使われる教育予算(各自治体、学区によってかなり異なる。インターネットで検索できる)
・風紀、治安に問題はないか
・教師の質、カリキュラム、施設の充実度
・州の共通テストの成績
・特別プログラム(ESL、特色のあるプログラムなど)
(高校の場合)
・大学進学率
・中退者の数
・ドラック、アルコールの問題
プレイデート
子どもが友達と約束をして遊ぶことをプレイデートと呼びます。小学校の低学年までは親同士が約束の時間と場所を決めます。
学校がある日に学校の後に遊ぶ約束をした場合、スクールバスから直接友達の家に降ろしてもらうこともできます。この場合は、 Bus Pass といって、バスにその日だけ特別に乗るお友達の名前、電話番号、住所、利用するバスの番号などを書いて担任の先生に提出します。
幼稚園の場合、午後から学校というときは、午前中友達の家に遊んでいて、そのままその友達といっしょに同じスクールバスに乗って学校へ行くこともできます。この場合は特に届けは出さなくてもよいとなっています。
学校を休む場合
旅行、習い事の発表会など事前に休むことがわかっている場合は担任に欠席届けを出します。病気などの緊急の場合は、学校に電話をして欠席を伝えます。その場合、子どもの名前、担任の名前、欠席理由を告げます。そして、後日子どもが元気に学校に通い始める最初の日に欠席理由を書状にて提出します。
ボランティア
アメリカの学校では何かとボランティア活動が盛んです。 Class Mother (父親もなることがあるので、Class Parent といっているところもあります。)は、担任と連絡をとり、クラス行事のお手伝いをします。仕事の内容としては、ハロウィーン、サンクスギビング、クリスマスなどにはパーティーをよくしますので、必要な紙コップ、スナックなどの手配を担当します。その場合、各保護者にこれらの必要なものの寄付をつのります。また、学校が悪天候(大雪など)で急行になった場合もお知らせの連絡をこのクラスマザーは担当します。
クラスマザーはちょっと大役ですが、他にも定期、不定期に常にボランティアをつのっています。学校から届くプリントをみているとイベントおきに先生から誰か親のヘルパーをつのっています。実際に学校にいけなくても、クラスで使う図画工作の材料を集めていますのでもってきてくださいなどの連絡がきます。中には図画工作の下準備のお手伝いに学校へいっている親もいます。
サポート職員・専門スタッフ
学校には教師以外にもサポート職員がたくさんいます。事務職員、スクールナース、ガイダンスカウンセラーはたいてい常駐していますが、近郊の学校を循環している専門スタッフもいます。まずスクール臨床心理士、臨床ソーシャルワーカー。彼らは子どもの社会性、感情、行動などに問題がある場合相談に乗ってくれます。次にリーディングスペシャリスト。彼らは読書、読解の指導にあたります。問題のある生徒を個別にテストしたり、問題点を探り出し、指導します。スピーチセラピスト。彼らは話し方、発音、ことばの使い方、理解力の問題がある生徒を個別に指導します。
忠誠の誓い
アメリカの学校の各教室にはたいてい国旗がかかげられています。なくてもどこかしらにでも旗が見当たるものです。これは毎日、朝、国旗に向かって国への忠誠を誓うためです。子ども達は胸に右手を当てて、誓いのことばを言います。
誓いのことば
I Pledge Allegiance to the flag of the United States of America and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all.
それではいったいどのようなことを言っているのでしょうか?
I pledge allegiance とは I promise to be true (誓います)
to the flag とは to the symbol of our country (アメリカのシンボルである旗に)
of the United States of America とは each state that has joined to make our country (それぞれの州が集まってひとつの国を作ったこの国、アメリカ)
and to the Republic とは a republic is a country where the people choose others to make laws for them-- the government is for the people (市民がその国の法律を決めるリーダーを選ぶシステム)
for which it stands, とは the flag means the country (国の象徴である旗)
one Nation とは a single country (ひとつの国)
under God, とは the people believe in a supreme being (大いなる力によって支配されていることを信じること)
indivisible, とは the country cannot be split into parts (国は分けられることはない)
with liberty and justice とは with freedom and fairness (自由と正義によって)
for all. とは for each person in the country...you and me (すべての人に)
つまり、アメリカに対して正しくあることを誓っているのです。
便利なWebサイト
http://www.greatschools.net/ 自分の住んでいる街にある学校の情報がわかります。
http://www.ed.gov/ アメリカの教育省のWebサイトです。
感想
アメリカで子供を育てていると、教育システムは気になるところ。ところが、日本のように全国どこにいってもルールがいっしょの国で育ってくるとこの国の「州によって」「市によって」ルールが 違うシステムはなかなか理解ができない。ここに書いたものは、私が住んでいる町のものを基本にしているので、その地区によってはまったく参考にならないというものもあります。(すみません)。これを目安に、自分の子供の学校を選ぶ時などの参考にしてもらえれば幸いです。
私の息子も9月からいよいよエレメンタリースクールに通いはじめます。楽しみな反面、いろいろな不安が押し寄せてきます。自分が経験した学校とはまったく別の”School”に通う息子 のため、わからないことは聞く、そして、学校行事には積極的に参加して、少しでも息子がいる環境を理解できたらいいなぁと思っています。
しんまいまむ
