ケース

ケア・ワールドでは海外で起こるさまざまな心の葛藤をケースとして扱ってきました。ここでは今まで扱ってきたケースを数例上げています。まったく同じケースはひとつとしてありません。しかし、皆さんの場合と多少似ていることもあると思い、もしこれらのアドバイスが皆さんに勇気を与えるのであればと思って載せました。

ケース : 幸せを感じられない、夢も希望もない

相談 :
私は子どもも二人いて、家族にも恵まれています。仕事も持っています。お金も十分にあります。しかし、生きていて楽しいと感じることがないんです。これといった希望も夢もありません。こんなまま不幸な人生が終わってもいいのだろうかと悩むのです。(E:日本)

レス :
そうですね。おそらくEさんの家庭は周りから見たらとても幸せそうな家庭に写ることでしょう。そして誰もあなたがそのような気持ちでいるなんて想像もつかないでしょう。しかし、Eさんはとてもつらい思いでいらっしゃるのが伝わってきます。
周りでは希望や夢を声高々に語ります。「楽しいことがないなんてどこかおかしいんじゃないの」と言うかもしれません。
しかし、希望や夢がない時期というものも、多かれ少なかれ、誰もが通っているのではないでしょうか?ただみんなそういう時期を通っていることを認めたがらないだけではないでしょうか。
Eさんの場合、もしかしたら、今はそういう時期を通っているのかもしれません。つまり、夢や希望、なにかたのしいと思えることを探している時期なのかもしれませんね。それらが見つかるまで、ちょっと足踏み期間を通っているのかもしれません。

そういう状況の今の自分を受け入れてみてはどうでしょうか?無理に否定せず、「いいの、今はこう感じるんだから、このままでいいの。こういう時期も大切なの。」と自分に言い聞かせてみては?
そして、たとえこれといった夢もないし、希望もない、これといって 楽しいわくわくすることが見つからなくても - それでも 毎日 毎日 を一生懸命生きている
それだけで 満足 と思えているのなら、それだけでも十分ではないでしょうか?
今の状況を今の自分にとっては自然、と受け止めてみてはどうかしら?
Eさんにとって 幸せってなにかしら?幸せの定義なんてないかもしれません。みんなそれぞれ違っていていいと思うし。
幸せって 自分の心がどう感じるかじゃないかしら?
人によっては、大きな家があることでも、かっこいい車を持っていることでも
いい仕事についていることでも、名が知れていることでもないのかもしれません

心の中に平和があって
どんな小さなできごとにも 喜びが感じられて
生きていること それ自身を 喜びとし
幸せと感じられる人もなかにはいます。

それ以外のことに幸せを感じられたら、それは おまけのように思う人もいます。
子どもがいること、愛する家族がいること、日本に住んでいること

そういうことは おまけと思うこともあるでしょう。
幸せなんてそんなだいそれたことではないのでは?本当はもうすでに自分の中にあるのに気づいてないだけのことかもしれません。どうでしょうか?


ケース  :  海外での死産

相談内容 : 
楽しみにしていた海外での出産であったのに、残念ながら生後2日で赤ちゃんは天国へ行ってしまいました。陣痛促進剤での計画分娩だったのですが、陣痛促進剤の扱いに問題があったのではないかと疑っています。さらに夫は海外であったからこのような事態が起きたのだと帰国させなかった自分を責めています。私の気持ちもずたずたです。

レス :  
私もことばがありません。周りではまた作ればいいとか、そんな無責任な励ましを送りますが、それは決して慰めにはなりません。Yさんの訴えをいくつかに分けてお返事させてください。

海外だったからと決めつけないで
ご主人はあなたを日本にさえ送っていればこの事態は避けられていたと思い込んでいらっしゃるようですが、お産というものは今まですべてにおいて順調に来ていても最後の最後で何が起きるかわからないものです。そのため、この事態が日本であったら避けられていたかもしれないというのはあくまでも推測でしかなく、もしかしたら日本であっても同じ事態になっていたかもしれないということです。そのため、海外であったからということで、自分の下した選択を責めないでください。
それよりも、ご主人自身がやはり同じように赤ちゃんを天国へ送らざるを得なかった悲しみの中にいるのだと思います。男の人はいろいろな形で喪にふすのですが、特に海外にいる場合は、周りからも海外であったからと責められますし、さらに彼はYさんを守って上げなくてはいけないと必死でいると思います。本当はいっしょに泣きたくてもどこかで自分はしっかりしていなくてはいけないという虚栄心を張ってしまっているのかもしれません。どうぞ、そんな彼の心をときほぐし、いっしょに泣いてもいいと思います。泣くことは恥ずかしいことでもなんでもなく、むしろ赤ちゃんがいなくなってさみしいことをきちんと受け止めることだと思います。

ママの心のケア
海外では信頼できる友達も、愚痴をこぼせる親もそばにおらず、この悲しみの時期を二人だけで乗り越えなくてはいけないのはとてもつらいことだと思います。けれども逆にあまり回りの人を知らないことでいちいち説明しなくて済むし、説明のたびに悲しみを掘り起こすこともないと受け止められるかもしれません。かといって10ヶ月間赤ちゃんと共に過ごしたママにとって、たったの2日しか顔を見ていなかったにしろ、それは20年育てた子どもとなんら変わらぬ母としての気持ちです。そのためにも、しっかりと赤ちゃんを天国へ送るステップを踏まなくてはあとあとまで引きずることになると思います。いいえ、赤ちゃんのことは一生心の中で生きていくでしょう。しかしそれは絶対に忘れないという意味です。
・ 赤ちゃんは抱かせてもらうといいでしょう。そして名前はつけてあげるのもyほいでしょう。お墓も作ってあげるとよいでしょう。
・ 検死を行ってください。なぜ赤ちゃんが死んでしまったのか納得がいくまで原因を確かめてください。なぜ死んだのか納得がいかないでそのままにしておくとそれは後々まで引きずります。どうして?どうして?と。自分を責め続けるかもしれません。
・ 赤ちゃんの写真を撮っておきましょう。かわいかった目、小さな唇、パパに似た髪の毛、ママに似た鼻。悲しみの中を通る過程で役立つでしょう。
・ たくさんの赤ちゃんのものを買い揃えたと思います。赤ちゃんの部屋も作ったでしょう。お友達が見るとつらいから片付けてあげるわというかもしれませんが、自分でするほうがいいかもしれません。それはからっぽの赤ちゃんの部屋に帰るほうがつらいからです。
・ 最初の3ヶ月から6ヶ月が一番つらいと思います。長ければ2年ほど悲しみは続くかもしれません。しかし半年以上も立ち上がれない状態でしたら、カウンセラーの助けを得るのも選択肢と思ってください。
・ 同じように赤ちゃんを天国に送った親の会というようなサポートグループがあると思います。インターネットでも探せますので、そのようなところに赤ちゃんの記念としてことばを送ったり、詩を載せると少しでも気持ちを癒すと思います。
・ すぐ次の妊娠によって悲しみが去るとは思わないほうがよいでしょう。むしろ一番つらい時期を乗り越えたときに次の妊娠の計画をしたほうがよいでしょう。

事件の解明に向けて
先進国であればたいてい医療における事件の解明を手助けしてくれる機関があります。助産婦さんや病院のソーシャルワーカーに聞いてみてください。これらの団体ではどのように医師にアプローチしたらいいのか、どこに何をどのような形で訴えたらよいのかの指導をしてくれます。


ケース : 臆病になっている自分

相談 :
アメリカに着いて1ヶ月がたちました。やっと荷物がほどけた状態です。1才の息子と何かグループに入りたいのですが、どのように探していいか分かりません。それよりもその第一歩をどうしても踏み出せない臆病な自分になっています。日本にいたような元気がわいてきません。

レス :
メールありがとうございました。またMさんの心の内を開いてくれてありがとう。

そうですかまだ一ヶ月ですといろいろとわからないことが多いですよね。不安もいっぱいでしょう。ましてや小さなお子さんがいたら思うように外へも出かけられませんものね。ご主人も学校の方で忙しいのでしょう。一人、異国で取り残されたような気持ちになるのも当たり前ですよね。

無理をしないでください。今のその気持ちはとても自然なことです。今、きっとトンネルを通っている時期だと思います。泣きたければ泣いてもいいですよ。人間つらいときのために涙があるのですから。

今はちょっとしたうつの状態に落ちかけているのだと思います。そういう時というのは、いったいこれがずっと続くのだろうか、もしかして抜け出せなかったらどうしようとさらに不安になるものです。ましてやおかあさんだからとしっかりしなくちゃとなんとか自分に発破をかけていると思いますが、そう思わなくてもいいと思いますよ。おかあさんだって人間なんだからひとりぽつんと小さな赤ちゃんを相手に途方にくれてしまうこともあります。みんな友達がひとりもいないという状況からのスタートなのです。

もう少し時間をかけて自分を責めないようにしてください。

少しづついろいろなことがわかり、毎日のルーチーンがでてくれば元気も出てきます。まだいろいろとシステムやどこに何があるかなどがわからない時期というのは不安なものです。ましてやことばが思うように通じなければそれすら聞き出せないのですからどうしても時間がかかります。聞ける人がいたら遠慮なく日本人でも現地の人でも電話をして聞きましょう。きっと教えてくれるはずです。みんな同じような経験を通ってきているのですからその不安や痛みは理解できるはずです。

もし外へ出ることがあったら、図書館、コミュニティーセンター、村役場、スーパー、子ども洋品店、コインランドリ―のようなところで育児サークルの誘いの掲示がないか探してみてください。コミュニティー新聞などにも載っています。1才くらいの赤ちゃんを集めた母と子のグループが絶対にあるはずです。

こどもを預けながら英語を習うクラスがあるかも探してみては?教会などでよくやっています。

あるいはファミリードクター、小児科のナースあたりにも何か参加できるグループがないか聞いてみてください。きっと紹介してくれるはずです。

周りに同じぐらいの年齢のお子さんのいる日本人はいますか。もしいないようだったら自分から日本人の目に止まりそうな日系スーパーの掲示板に「お友達になりませんか」という形で育児グループ結成への誘いを出してみてはどうかしら。

そして最後にMさんが感じていることは他にも多くの日本人女性がみんな通る関門だと言うことを覚えていてください。自分だけどうしちゃったんだろうなんて思わないで下さい。どんなにしっかりした人でも海外への移動はものすごいストレスなのです。その現地へ行くという第一関門をまずは通過したのですから。

息子が2才の時に私はシンガポールへ行きました。何もかもうまく行かず、現地の人にだまされ、裁判沙汰になりそうになり、家の中は熱くて絶えられず、エアコンは壊れている、知っている人は誰一人いない、家の前のプレイグランドに行っても誰一人声をかけられない、ましてや日本人などどこにいるのやら、外に出る勇気も無く、夫は海外へ出張、本当に孤立してしまったという思いでそれでも母親に弱音をこぼすこともできず、息子を抱いて大泣きをしました。

今そのことを思うとまだ涙が出てきます。けれどそれからじょじょに時間と共に現地の生活に慣れていきました。信頼できる友達を作るには時間がかかります。

あのついてからの数週間、数ヶ月がうそのように人間は強くなるものです。

だから気張らず、のんびりとそちらの生活に慣れていってください。日本の気心知れるお友達には愚痴を書いてもいいでしょう。

国際電話も今は安くなりました。治療代と思って思いっきり親や友達と日本語で話してみるのもストレス発散ですよ。メールもおおいに利用して子育てフォーラムなどに投げかけてみては。きっと多くの方から励ましのレスがあると思いますよ。海外子育てメーリングフォーラムというのもあります。

私はいつもここにいますからね。いつでもメールをどうぞ。

 

ケース :  ストレスで子どもにあたる

相談 : 
異文化の中で、ことばの問題、こどもの教育、人間関係など親のストレスでついこどもに当ってりしてしまいます。こどもも年齢的に自我の芽生えてくるときで、入園、入学など新しい環境に置かれたりして、きっと同様にストレスを感じていると思います。うまく向き合って乗り切る方法はありますか?

レス : 
海外生活はただでさえ、ストレスの多いもの、外にいけば緊張の連続です。私も海外では週末、夫が家にいるとどんなにほっとしたものか。そのような前提で日々のごたごたが加わるのですから、親側の容量ももう満杯状態になりますよね。そんな時に、一番弱い立場で、身近にいるこどもは当り易い存在んなんですよね。
けどママだって人間。 疲れるし、いらいらするし、たまには爆発もしますよね。ただ爆発をしたあと、ちゃんと悪かったって反省してあやまれるフォローの心があるかどうかが大切ですよね。
そしてなによりもストレスをこどもに当てるほどまでに貯め込まない事ですね。ああ、貯まってきたな~~~~、爆発しそうだ~~~~って思ったら、即、ベビーシッターにヘルプ、一時預かり所を利用するなどしてママは精神的な休養をとってください。
子ども達も環境の変化でどう対処していいかわからないんです。ママが不安だから子ども達も不安になってその気持ちをどこにもっていっていいのかわからずだだをこねたりもします。だからママを困らせるようなことをして自分をなだめてるんですよね。そのあたりも汲み取ってあげたらよいでしょう。きっとママのど~~~んとした、まあ、なんとかなるさといった構えの姿勢が子ども達にとってなによりもの安心ではないでしょうか?
今日、これをしなくても、今日、このことが解決しなくても、よい方向へ持っていきたいという姿勢さえあれば、「また明日があるさ」位の気持ちでいれば、時が解決してくれることもあります。
無理をしないでくださいね。

 

ケース : 海外生活に適応せず悩む

相談 :
こちらに着いた頃はかなりうまく自分自身現地の生活に適応していると思っていました。それが最近はなにもかもがいやになってきました。とにかく常識の中でことが進まないのです。現地の人は理屈が通らないというか。本当にいらいらの毎日でこどもにも当ってしまいますし、日本に帰りたい気分です。 (スリランカ 滞在1年)

レス : 
滞在1年、1年半くらいで帰国された方に現地情報を聞くとその国のあまりポジティブな印象を語られていません。やはりその国を本当にいいことも悪いことも知るには最低3年は必要なように思えます。この方もちょうど1年たってその国のいやなところが見えてきて耐えられなくなって来ています。
渡航前セミナーで是非紹介してほしいと思うのが日本人の海外不適応の特徴と過ごし方のアドバイスです。これだけ知ればセミナーに参加した価値、絶対ありだと思っているのですが、なかなかこのような海外生活サバイバル術を解いたセミナーがあまりありません。そこで奮起一点、わたしはここに海外適応期とそれぞれの過ごし方を紹介したいと思います。是非皆さんも自分だけがこのように感じるのだと悲観せず、この適応過程がノーマルだということを意識して滞在期間を過ごしてください。
さて、以下は 稲村 博 氏の 「日本人の海外不適応」 をもとに海外でこどもを育てる親を念頭に私のアドバイスを足しました。

1. ものめずらしい時期  ・・・ 現地に着いてから数週間
時期的には最初の数週間から数か月くらいでしょうか。まだ観光気分で新しいスーパーを訪れたり、久しぶりの家族といっしょに現地の動物園に行ったり、週末にはお買い物と観光にあけくれる時期です。友達への手紙も現地で見ることすべてが真新しく、感動の連続で日本との違いについていろいろと語っていることでしょう。
この時期は不適応は少ないですが、カルチャーショックの連続ですから、ポジティブな新しい発見とともにネガティブなちょっとこんなのはいやというものも経験します。

過ごし方のアドバイス
滞在期間はまだまだ先が長いのです。そのためにも少しセーブエネジーですね。自分自身ではけっこううまく適応していると勘違いしていますが、これは案外見せかけの適応です。そのためあまりはしゃぎすぎると疲れが出てきます。
欲張っていろいろなところへいったり、いろいろなことにチャレンジするのはちょっと控えて、まだ周りの様子を伺う時期にあてましょう。無理をせずマイペースで。

2. その国のいやなところが見えてくる時期 ・・・ 数か月経過
だいたいどこへ買い物に行ったらいいかが分かってくる。こどもの幼稚園もスタートした。家の中もダンボールも片付いた。そんなふとほっとしたときにやってくるのが現地のいやなところ。今までは驚きだけで終わっていた事が、「またメードが遅刻。」「クリーニングはどこへ出してもへた」「美容院では顔に水を引っ掛けられる」「家具はまともなものが来たためしがない」「日本人だからってぼられる」こんなふつふつとした不満を夫に言い始める。もう、いや、「日本に帰りたい症候群」しかもあと何年の滞在かも分からないといったいこの状況にあと数年耐えていけるだろうかという不安すらふつふつ。不適応のきざしがちらほら。この先からが勝負です。ここで心身ともに不調が続き、精神障害などが出て、負けてしまうのか、それとも自分の心理状況をきちんと分析して立ち直るのかの境目です。
この時期にdepressionに陥る方もいます。ひたすら日本に手紙を書きつづり、どの手紙にも現地の不満、夫への不満、もう帰りたいという気持ちがつづられているでしょう。1週間でも帰国したら治るんじゃないかと思う。朝起きてもどうにも元気がでない。やらなくてはいけないことがいっぱいあるにもかかわらず、力が沸かない。こんな長いトンネルの時期がいつまで続くのだろうかという不安。もう立ち直れなくなるのではという不安。ちょっとしたことで大泣きをしてしまう。我慢強い人ですと、ストレスがからだにも不調を起こし、下痢が続く、胃が痛い、頭が重いなど。これが続くとうつになります。

過ごし方のアドバイス
来た当初張り切っていた人ほどこの時期の落ち込みが激しいように思えます。自分でもこんなはずじゃなかったのに、自分は海外なんてしょっちゅう旅行しているし、英語だって何とか話せるのに、この落ち込みはなに?と自分自身を疑うほどでしょう?けれどもその気持ちに逆らわないでください。むしろきちんと受けとめ、みんなこの時期は多少なりとも不平、不満はつきものと受けとめましょう。あせりは禁物。生活が軌道に乗り、慣れるまでの時間の問題。愚痴れる友達に何度でもメールを送りましょう。とにかく吐き出す。ただ聞いてもらえるだけでいいからと伝えましょう。またあまりにもうつがひどいようであれば、近くのリゾートに週末でも気分転換にリフレッシュに出かけましょう。まだ1時帰国ほど深刻ではないと思いますので。そしてのんびりと時間を過ごすようにしましょう。この時期はなにを見てもカッカしてしまうと思いますのでとりあえず冷静を戻す為にものんびりと過ごしましょう。

3. こんなもんだと諦め、状況を受け入れる時期 ・・・ 1年経過
「しょうがない、しょせんここは日本じゃないんだから」と1年くらいたつと繰り返される変えられない状況がわかってきます。そして変えられないゆえに、怒る事すらあきらめ、状況を受け入れるようになるのがこの時期です。「あら、メードなんて遅れるのが当たり前よ。時間の感覚が日本人とは違うんですもん」と新しく着いた人達にアドバイスをするくらいの余裕も出てくると思います。「タクシーで運転手に遠回りされるのも道が分からないからなのよ。けどもこれもレッスン代だと思うしかないわね。」と状況が判断できるだけに現地の状況を理解することができるようになります。それゆえに納得がいくようになります。しかし気をつけなくてはいけないことは性格的にそれでも不満をいい続ける人です。その場合帰国までずっと続く可能性があります。

過ごし方のアドバイス
現地の状況を引き続き批判的にとらえるとこの状況から次のステップへ進むのがむずかしいと思います。そのためにも多少でもよいですから受け身的にでも状況を受け入れるようにするとよいでしょう。インド人のカレーの体臭が耐えられないと思っても、まあ、しょっちゅういっしょに顔を会わせているわけでもないからとか、インドの本格カレーをこの際学んじゃおうかな?と思考を転換させてみましょう。受け入れの時期に大切なのはもうここまで来たんだからおおいにこの土地でしか得られないものを吸収して帰国に向けようと思ういきごみだと思います。

4. やっとその国が好きと言えるようになる時期 ・・・ 3年経過
この時期を稲村氏は適応期と呼んでいます。これが目標かどうかはわかりません。しかしプロセスとしては確かにその国が好きになってきたと言える時期がやはり適応期だと思います。いや、むしろその国のいやなところもいいところもわかってきて、それを自分なりに定義づけて受け入れ、これから先の滞在期間を快適に過ごそうという前向きな姿勢がもてるようになることだと思います。もう周りにふりまわされている自分でなく、もう自分で着実に大地に足を踏み入れ、自活して自分の人生の指針をかかげるようになれるのがこの時期です。
しょせんどこの国へ行ってもその国の悪いところ、いいところはあるのです。自分の国だから絶対にいいとは断言できないでしょう。ならばお客さまとして来ている国はなおさらです。決して自分の家とは勝手が違うのですから摩擦が常にあるのは避けられません。それでもなお少しでも生きていく空間を快適にする努力をし、それに到達できたらしめたものです。

過ごし方のアドバイス
ここでしか絶対にできないと思ったことを見つけ、コミュニティーカレッジなどの受講生として学ぶ。現地の人達と解け込みボランティア組織で役員を担う、ピアノ、生け花などを教えて現地の人達との交流を求める、現地の人達といっしょに社会に出て働くなど自分自身が生かされることにつくことに人生の光が見えてくることでしょう。こどもがいても海外だからこそ自分のリフレッシュのためにこどもを預けることも受け入れられているでしょうから大いに利用してしまいましょう。現地で得たものが必ず日本でも生かされるのであれば最高ではないですか。デコパージュ、キルティング、中国語、フラワーアレンジメント、英語、大学で修士を取る、博士号を取る、なんでもよいでしょう。必ずや人生のステップになるように選びましょう。
気をつけなくてはいけないのはやはり海外でもしょせん日本人社会に生きていることです。そのためあまり有頂天になり過ぎて人間関係のもつれなど起こさないように気をつけてください。まだその時期に達していない人からすると目標と捉えられるかそれとも嫉妬心の目で見られるかです。

5. なんか日本に帰りたいなと思う時期 ・・・ 6年経過
5年を経過すると自分よりあとから滞在国へ来た人達も先に帰国という自体も考えられます。自分は古株。新しく来た人にいつもつきあって現地の生活を紹介することにもしょうしょう疲れてくる。もう5年以上もいるということを会うたびに言うのがちょっと恥かしくなる。「あら、まだいるの?たいへんね」というような目で見られているような気がして来る。いつ帰るのかわからない人たちにとってこの5年を経過する時期はちょっとしたうつが訪れるものです。ある程度の滞在期間の目標があればその時期を有効に使えるものの、がんばっていたのもちょっと燃焼気味。
そうなると日本にそろそろ帰りたくなります。自分の基盤をもういい加減に確立したくなります。海外で仕事ができず稼げなかった人達は年齢制限などを気にするともう今帰らなかったら一生仕事にもつけないという焦りを感じてきます。いつまで夫につきあってこの土地に入るの?私の人生はどうなっちゃうの?と。日本食をなつかしむこと、温泉でのんびりとお湯につかること、すべてが美化されてしまい、夢にまで現われて来ます。

過ごし方のアドバイス
稲村氏はここで 「日本人としてのアイデンティティーをみつめ直すよい機会かもしれない」 と書いています。確かにそうかもしれませんが、具体的なアドバイスとして私が経験上お勧めするのは一時帰国です。しかもできたら1ヶ月くらいの時間を自分に与えられるとよいと思います。このあと滞在国でどのように自分を生かしていったらよいのかを考えるチャンスとして。

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